10/05/2010

case review

 先月のICU勤務中に診た興味深い症例を、いま見直している。腎膵移植後に免疫抑制剤(alemtuzmab、抗CD52モノクローナル抗体とtacrolimus)を導入されてから重度の自己免疫溶血性貧血を発症した患者さんで、ステロイド療法に不応性でヘモグロビン濃度は一時期3.5g/dlまで下がった。

 免疫グロブリン、rituximab(B細胞をターゲットにした抗CD20モノクローナル抗体)、bortezomib(プロテアソーム阻害剤で主に多発性骨髄腫に用いられる)、血漿交換を行ってやっと反応した。無事退院できてほっとしている。

 この症例から、自己免疫溶血性貧血について、その他の溶血性貧血について、免疫阻害剤について、免疫学の基礎知識について、生物学的製剤について、など幅広く学ぼうと思う。一つ一つの項目について学ぶうちに、そこから派生した事項まで学ぶこともできる。来年からのトレーニングでは、腎移植や腎膵移植の患者さんを沢山診るのでその導入ともいえそうだ。